(「朝日新聞」7/15夕・8/7、「日経新聞」8/6夕、「出版月報」7月号、「日本流通産業新聞8/7、共同通信8/11配信から)
新聞の宅配制度のないアメリカゆえ、といえなくもないがNYタイムズのデジタル版が紙媒体を上回る数字を出したそうだ。購読料と広告が「四半期ベースの収入でデジタルが紙を逆転するのは初めて」(8/7朝日新聞)らしい。記事によれば、デジタル版のみの発行も匂わせている。
同じ朝日新聞によれば、「新型コロナウイルスの感染拡大や、人種差別への手厚い報道が新たな読者を開拓した」とNYタイムズの報道姿勢に関心が集まったことが要因であるとトンプソンCEOは分析している。いっぽうで、「新型コロナの影響で高級ブランドや娯楽業界などからの広告収入が減った」ため、会社全体の決算としては「売上、純利益ともにマイナス」となったそうだ。デジタルの伸びがなければ、ゾッとする数字であっただろうことは容易に推測できる。さらに氏は8/11共同通信配信の記事によると「20年後も印刷されていたら非常に驚くだろう」と、NYタイムズはデジタル版のみになる可能性にも言及している。
また7/15朝日新聞夕刊にはオーストラリア(以下、豪)のニュースで「コロナの影響 豪で36紙廃刊」という記事があった。豪も新聞の地方紙は厳しい経営を強いられているところに、コロナウイルス感染拡大で広告収入が減り、追い打ちがかかったものと考えられる。豪の最大手メディアのニューズコープ・オーストラリアは、「傘下の36紙を廃刊、76紙をデジタル版のみとする」と発表した。
デジタル化の問題ではないが、宅配に支えられている日本の新聞社では、チラシが激減している新聞販売店の存続が気になるところである。