タイパ……そんなに急いでどこに行く(出版研究室から[65])

『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ_コンテンツ消費の現在形』(光文社)を読んだ。早送りする理由に「なるほど~」と思った。けどその後、フリー編集者の話を聞いて「早送り、なるほどだけど、どうするよ……」となった。

その方の話とは「取材の中で心理学の医師が、ここ数年、相手の感情をとらえられない子どもが増えているように思うと言ってたんだけど、大人がタイパし過ぎてるせいもあるんじゃないかと思うんだよね。忙しいしタイパはありと思うけど、大人の時間の流れに子どもの時間を合わせすぎると、子どもの気持ちを受けとめなくなっちゃいかねない。そうすると、子どもの感情に嬉しいんだね、悲しいんだね、悔しいんだね、恥ずかしかったんだねとか、大人が言語化してあげる時間がなくなるから、子どもが自分の感情がどういうものなのか、とらえられなくなっちゃう。ということは、相手の感情だってわからないと思うんだよね」ということだった。

極論……? と思ったけど、否定はできない。

特に幼い子どもは、大人が言語化することで感情を表現できるようになる。感情だけじゃない、いろいろな表現ができていくようになる。大人は保護者とは限らない、周囲の大人すべてが対象だ。

大人にはあたりまえのタイパ。でも社会にはタイパ無関係の存在もきっとある。だからといって、こうしましょうという答えはなくて「どうするよ……」と考え続けるしかないんだろうなあ。

※タイパ:タイムパフォーマンス

(ちなみに冒頭の書籍では、本の読まれ方にも触れられているので、ご興味のある方はどうぞ。)

(出版研究室・當田マスミ/『出版労連』2023年2月1日‐1607号より)