書店経営――政治に頼る前に(出版研究室から[57])

さきごろ、「全国の書店経営者を支える議員連盟」(書店議連)の新体制が発表された。これまで会長だった自由民主党の河村達夫氏から塩谷立衆議院議員に交代。書店事務局は、日本書店商業組合連合会と出版文化産業振興財団(JPIC)が担当する。

書店議連は2016年に自民党議員を中心に結成された。現在の役員は会長から幹事まで14名の全役員が自民党所属である。かれらが目指すのは、リアル書店の減少に政治的な力をもって改善させることだという。4月14日に開かれた書店議連総会では、近藤敏貴JPIC理事長(トーハン社長)が書店を救済するための議員立法を期待する旨の発言をした。

これまでも出版業界が主導して関連法案を成立させたことはある。2005年に制定された文字・活字文化振興法である。これは超党派議員で組織された活字文化議員連盟が、学校教育現場などでの読書環境改善の施策を推進するために成立させ、出版労連も法制化に協力した経緯がある。

書店議連は、その名もズバリ「書店の救済」を目的とする。仮に、なんらかの法的、税制的な優遇措置で書店を対象にした場合、他の小売業との公平性はどう保つのだろうか。ましてや特定の政党だけで決めた議員立法では、「利己主義的な法案」と、みなされやしないかとも懸念する。私自身は、リアル書店は必要不可欠なものだと考えるから、おかしな方向に行かないでほしいと願うのである。

そもそも、書店の経営が苦しいのは、欧米と比較して書店の粗利が極端に少ないこともある(例えばドイツの書店粗利は35~40%だが日本は22%前後)。法改正による救済以前に、業界内での分配調整をすべきと考えるのが道理だろう。仮に書店に法的な救済がなされた場合、書店も仕入れた本はすべて売り切るなどの覚悟が必要だ。

(出版研究室・佐倉エリカ/『出版労連』2022年6月1日‐1599号より)