『サライ』が8月号で「読書三昧の夏」という大特集を組んでいる。「自宅でゆっくり、のんびり、名著に耽る」と、いかにも「サライ世代」に向けたコロナ禍対策特集だ。
藤原正彦氏の巻頭言からガツンと食らわせる。「ネット情報は99%以上クズ情報」と断じたうえで、「適正に選択されない情報は、いくらあっても無価値。(略)真の情報を選び取るのか。それを判断するのが教養」と言い、「孤立した情報が組織化されて初めて知識になり、さらに知識がつながると教養になる」と氏は語る。「教養がなければ、自然観も歴史観も倫理観も身につかない」とも。永田町界隈には何とも耳の痛い方々がおられるのでは。
第1部の最後に「『サライ』書評担当者が教える、選書の手引き」というさりげない記事が光る。「〝よい本〟に出会う10のコツ」と引きつけたうえで、誰でも簡単に日常の中でできる方法として、「よい本を識る秘訣」と「購入にあたっての心得」を伝授する。10か条すべてを紹介したいところだが限りがあるので、少しだけ引用する(残りも面白いのでぜひ『サライ』を手に取ってご覧いただきたい)。〝よい本〟に出会うために「一、新聞広告を吟味する」とある。「書影を使わず活字だけで構成された小さなスペース。(略)わずか数文字の言葉に強く惹かれるものを感じたら、それはおそらく買っても損はない本」とも。なるほど! 書店での本探しでは、「一、カバー、帯を見る」とあり、評論やエッセイは「まえがき」、小説ならば「ちら読み」のお勧めもいい。(「選書の達人)希望男)