自由求め、つながり抗う(出版研究室から[11])

構想から3年の出版研究室(以下、研究室)のスタートは2年前にさかのぼる。出版産業の問題の多さ、深さ、重さ、そして変化の早さとも関係して、昨日見ていた業界の景色と今日のそれは違っている、ということが往々にしてある。変化というとなんだか良さそうに聞こえる。しかし、しかしである。転がり落ちている変化といっては言い過ぎか。

2年間の活動を振り返り、新年度の活動へのバネとしたい。共謀罪創設をはじめ管理・統制の強化が進み、言論・出版・表現の自由は危殆に瀕しているといっていい。こうした時代状況に対して、研究室は事務局的な役割を果たし、学者やメディア関係者とともに共謀罪創設反対集会の開催、声明発表、『物言えぬ恐怖の時代がやってくる』(花伝社)を著すなど抗いの姿勢を貫いた。民放の硬派報道番組のプロデューサーやNHKのドキュメンタリー番組のディレクターを講師に、報道の自由とテレビの現実を話していただいたこともあった。

アマゾンのバックオーダー中止から流通問題の裏面の動きを探ろうと、流通代行業者大手2社への取材を行った。驚いたことに、出版に関係するすべての産業中、唯一といっていい「成長産業」だということがわかった。

最後に8月中に開設を予定しているHPの紹介を。目玉のひとつの「出版人に聞く」(仮称)の連載である。出版経営者、編集者、営業担当者、古書店主、流通代行業者などなど、ありとあらゆる業種・職種の方々に本音を語ってもらう。乞うご期待!

(出版研究室事務局長・平川修一)〔『出版労連』1553号/201881日より〕