出版研究室が開設して半年が経過した。出版労連本部の一番奥まった一角(ユニオン、ネッツなどの部屋)の机に出版レポート、教科書レポートや出版年鑑などを置いてスタートした。
まずは資料を揃えたところだが、並べるとあらためて研究室の役割が重要だと感じる。ファイルや資料のタイトルを見ただけでも出版関連業界が課題山積だということがよくわかる。
この間にも出版業界をめぐる動きは様々あり、マスコミで大きく扱われている。書籍、雑誌の流通でアマゾンの動向が話題になり、輸送業界の対応も報じられている。従来の取次、書店、読者の流れが変わりつつある。出版社の業務、著者との関係や権利問題はデジタル化で様変わりをしている。電子媒体への移行は書店や製紙、印刷、広告業界にも影響を与えつつある。
いま出版業界は産みの苦しみに直面している。出版物は文化を創造する役割があり、憲法に保障された自由や再販制など……私たちの産業は固い殻に覆われていた。その中で仕事をし、生きる糧を得てきた。しかし、この殻が破られつつある。デジタル化、アマゾン、改憲、表現規制……。こうしたなかで、私たちは産業の問題点を明らかにして、解決の方法を提示しながら自らの力で殻を打ち破りしっかりと進まなければならない。
研究室は緒についたばかりだが、とにかく産業とそこで働く人たちに少しでも役立つ活動をすすめていきたい。その内容はウェブサイトと本紙で随時紹介していく。ご期待ください。
(出版研究室長・橘田源二)[『出版労連』1543号/2017年10月1日より]