パンデミックと戦争のさなかに(出版研究室から[64])

出版産業の今日的到達と課題を解き明かそうという出版研究集会が、49回を迎える。全体会と5つの分科会で構成、出版研究室もその一翼を担い、分科会①を受け持つ。

「個人情報の利活用だ! さあ、あなたの個人情報をマイナポイントと交換しよう! でも、それってほんとうに大丈夫?」(2/10)

巨費を投入して登録キャンペーンを展開し、健康保険証や免許証としても使用させると意気込む政府。マイナンバーカードなしには税金の電子申告もできないのである。マイナカード取得は国民の義務となった感もあり、2万円貰えるなら…という人がいるのもわかる。しかし、個人情報が筒抜けの丸見えとなる危険と背中合わせであることに、いま一度着目してほしい。

その他のタイトルと講師は以下の通り。

全体会「いま、本を読むこと・つくること―パンデミックと戦争のさなかに」(2/28)
講師・小川公代さん(書評家・上智大教授)、白石正明さん(編集者)

分科会②「デジタル社会のデモクラシーを求めて―ビッグ・テックとの闘い」(2/15)
講師・内田聖子さん(アジア太平洋資料センター)

分科会③「“イイネ”で名誉棄損?SNS 時代の表現の自由講座」(2/20)
講師・志田陽子さん(武蔵野美大教授)

分科会④「文科省による『拉致問題関連本の充実』要請問題を通して図書館の自由を考える 」(2/24)
講師・松井正英さん(日本図書館協会・図書館の自由委員会)

分科会⑤「教育DXは何をもたらすか」(3/1)
講師・児美川孝一郎さん(法政大学教授)

産業新生には労働組合としてのアプローチはなくてはならないものである。そのためには多様で活発な議論もまた不可欠である。詳細は出版労連HP参照。

(出版研究室担当中央執行委員・樋口聡/『出版労連』2023年1月1日‐1606号より)