児童書業界、これからどうなる?

児童書は1冊の商品がドカン!と売れることはあまり多くありません。以前、書店員の方から「それでどうやって会社が成り立ってるの?」とか「大ヒット作品がなくて、会社潰れないの?」と聞かれたことがありました。そんな風に思われていたのか、とちょっとショック…。でも、たしかにそう考える人もいるかもしれません。

児童書出版社は書店での販売も大事にしていますが、もうひとつの大きな柱として、公共図書館や小・中学校図書館への販売があります。いわゆる外商販売です。

近年、この外商販売に力を入れる児童書出版社が増えてきました。以前は、外商書店へ営業をしていると、「そんなの意味あるの?」なんて言われていましたが、今じゃ当たり前のように、各社が書店の外商部門への営業に力を入れています。そして、確実に執行される図書予算を狙って、外商販売向けの新刊を多く刊行するようになりました。そんな、各社が力を入れるなかでも、よく目立ったのが調べ学習向けセット商品です。授業の単元に沿ったモノも多く、特に学校の先生からは大人気です。また、公共図書館でもよく購入され、学校貸し出し用として、通常の蔵書とは別にバックヤードに大量に揃えていたりします。そんなこんなで、今まで児童書を出版していなかったような出版社まで、この手の商品を刊行しているのが現実です。「こんな一般書の出版社から!?」と驚くこともしばしば。でも、それだけ需要があり、定価の高さもあって、大きな売上げとなっているのです。

しかし、先日、その流れとは逆行するような話を聞きました。全国で外商販売をしている取引先から、「今年は読みもの、絵本を中心に販売します」と連絡が…。学校で使用するPCやタブレットが児童・生徒に普及し出していて、調べ学習は紙の図書ではなくそれらを使用するという学校が増えてきた、という理由でした。

これが本当に全国の多くの学校でそうなってしまったら、どうなるのでしょう。調べ学習向けセットが会社全体の売上げの大きなシェアを占めている出版社も多く、児童書出版社の営業マンからも心配する声をよく聞くようになりました。まだまだ現状では大丈夫かと思いますが、もし調べ学習向けセットが売れなくなったら、結構大変なことになるかも…?どうなる、児童書業界!?