追及はまだまだ終わらない(出版研究室から[66])

今期の出版研究集会の口火を切ったのが、出版研究室が担当した2月10日の分科会①で、そのテーマは「個人情報の利活用だ! さあ、あなたの個人情報をマイナポイントと交換しよう! でも、それってほんとうに大丈夫?」だった。マイナンバー制度に反対する幅広い分野の人たちが参加して活動している市民団体の「共通番号いらないネット」から2人の方を講師に招いて、違憲性やプライバシー漏えいの危険性など、さまざまな角度からの分析と、その結果見えてきた問題点などを議論した。また後日、本紙にも報告記事が掲載される予定である。乞うご期待!

さて、分科会①で取り上げたマイナンバー制度の問題の中でも、今もっとも関心が高いと思われるのがマイナ保険証だ。政府は、2024年秋に現行の健康保険証を廃止して、マイナ保険証に一本化するという方針を打ち出している。この措置に対しては、医療の現場からも反対の声があがっている。たとえば、東京保険医協会のHPでは「今まで通り保険証を持参してください」と訴えるポスターのダウンロードを呼びかけて、マイナ保険証に対する反対姿勢を示している。さらにマイナ保険証に反対する訴訟にも踏み出している。

そもそも、マイナカードの申請・取得は任意だ。義務でも何でもない。しかも、個人情報漏えいへの不安もある。だからマイナカードを作らない人も多い。政府はマイナ保険証を持たない人のために、保険証の代わりになる「資格確認書」を発行するそうだが、この資格確認書の問題点もいろいろ指摘されている。マイナンバー制度の問題点を、まだまだ追及し続ける必要がある。

(出版研究室主任研究員・前田能成/『出版労連』2023年3月1日‐1608号より)