コロナ禍で電子書籍が超伸長!

(「日経産業新聞」5/14、「出版月報」7月号、「日本流通産業新聞」8/7、「毎日新聞」8/17夕から」)

前回、海外の新聞社のデジタル版への移行が進んでいることを述べたが、日本の出版の電子版はどうであろう。3月以降、巣ごもり特需などといわれて、当初は学習のため、その後はクイズやレシピ本への関心からであったが、総じて本の購入、読書への関心が高まったのは事実だ。2.6%増の数字を残した。そのなかで、電子書籍の売り上げの伸びが以上に高い。出版科学研究所調べによると2020年上半期(1~6月期)の電子版の伸びは前年同期比28.4%増である。これが紙と電子合計の出版市場をプラス成長へと導いたといえる。図書館の電子図書サービスの伸びも大きい(出版月報)。

8/7日本流通産業新聞に掲載された電子書籍ストア「BOOKLive」の淡野社長のインタビュー記事が面白い。20年度決算の3月期の数字は前期比20%増、21年度の4月度は30%、5月度は45%、6月度は30%のいずれも激増だという。7月度も30%増と見込んでいる。傾向として「在宅率の高まり」は女性客を増やしたそうだ。「男性に比べて作品の幅が広く多様性に富んでいる」とのこと。淡野社長は、これまでの着実な施策の効果が出たとしているが、特需ともいえる好調さは、「コロナ終息後は戻る可能性もある。コロナ禍による巣ごもり需要の影響は半分程度」と答えている。

また、電子書籍取次のメディアドゥの藤田社長もまた「新型コロナで電子の価値が再認識され、利用がさらに広まる」(5/14日経産業新聞」)と投資の拡大を加速させている。

コロナ禍で文化・芸術・芸能の産業は大きく変わった。そのなかで、出版は今のところ(8月中旬)コロナ禍の影響を大きく受けていない数少ない業種である。8月17日に内閣府が発表した「4~6月期のGDP年率27.8%減は戦後最悪のマイナス」(8/17毎日新聞夕刊など)のニュースは、今後、購買力の減退を推測させるに十分なものである。出版産業はどのように変わっていくのだろう。