この夏コンビニエンスストアの店頭からアダルト誌が消えた。当初コンビニ各社は9月以降店舗からの撤去を発表したが、前倒しした社もあり大半の店ではゴールデンウィーク明けから徐々になくなっていった。いち早く取り組んだミニストップの社長は「売上げ影響はほとんどない」「客や女性従業員に好評」と語っている。また、PTA関係者などからも「当然」の声が上がり歓迎された。ちなみに、今回の動きは警察からの圧力ではなくコンビニ各社による独自判断だとされている。
出版研究室では、次のように考えてきた。
- 出版・表現の自由
①´東京五輪、ラグビーW杯を口実にした表現の自由への圧力
②アダルト誌専門関連会社の経営問題
- 性の商品化
③´セクハラ
④アダルト誌を〝必要〟としている読者
等々の問題がある。
①・①´研究室として最も注視している。とりわけ東京五輪を奇貨として監視社会の強化をはかる現政権による表現の自由への規制の動きとの関係を見ておく必要がある。
②すでにアダルト誌を中心に仕事をしていた印刷・製本会社のなかには倒産や廃業が起きている。売り上げの半分を占める版元にとっては経営困難に陥る可能性もある。急遽コンビニで販売してもらえる代替誌への切り替えを急いでいる。
③・③´ミニストップ社長談やPTAの動きと①の関係を押さえる。
④実はかなり深刻な問題。コンビニで販売されている・いたアダルト誌だけのことではない。マニア誌とよばれるアダルト誌を〝必要〟としている人の存在をどう考えるか。
コンビニから消えたアダルト誌の問題は、今後も①の問題を中心に研究を深めていきたい。
(出版研究室室長・平川修一/『出版労連』2019年9月1日‐1566号より)