消え続ける町の本屋…失われるものは何か?! 「DIAMOND online」(5月3日付)、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(5月10日放送)から

東京・赤坂から本屋が消える! ある意味「またか…」と思ってしまうニュースを目にした。「DIAMOND online」の2022年5月3日の記事だ。これは「『書店の消滅』と『女性の労働問題』が根本でつながっている理由」という記事で、これはこれで考えさせられるテーマではあるが、「書店の消滅」という点に着目してみた。

まず「書店という業態は世の中に街に必要とされなくなっているのだろうか?」の見出しにハッとさせられる。町の本屋が消えていくという話はずいぶん以前からメディアでも取り上げられニュースになっていた。そして何より出版業界にとっては極めて深刻な問題だとして受けとめられ、関係業種・企業に限らず多くの文化人・学者諸氏からさまざまな問題提起がなされ続けてきた。いや今も続いている。その一つとして、東京都書店商業組合がYouTubeでの動画配信で書店の現状の訴えと読者再獲得に動き始めたことを「がんばれ、東京都書店商業組合! ~もう一度、本屋を身近な存在に~」(2022/2/28付)を、この「出版産業、気になる話題」で取り上げた。それを前後して東京都書店商業組合関係者のみなさんの地道な努力で新聞各紙、民放テレビ・ラジオで取り上げられ話題にもなった。

2022年5月10日(火)のTBSラジオの早朝番組「森本毅郎・スタンバイ!」もその一つだ。TBSのある赤坂ということもあるのだろう。10分弱の特集だったが、大変好意的な内容だった。

「30年前は東京に1,400店舗以上の書店があったが、今年1月には278店舗になっている!」と、8割以上減ったいう衝撃的な数字を明らかにするところから番組は始まった。そして赤坂には3つの書店があったが6月17日に文教堂赤坂店が閉店することになり赤坂から書店が消滅すると。

また放送当日(5/10)には明正堂書店アトレ上野店が店じまいすることも…。一昨年から上野に足を運ぶ人が減っただけではなく、独自の棚づくりが人気で他県からもわざわざ買いに来る読者が多かった店だっただけに、コロナ禍の影響をもろに受けてしまった結果だそうだ。

番組の切れ味のよさは現状の報告分析にとどまらない。東京都書店商業組合の小川頼之さん(港区南麻布で小川書店を経営)の言葉が重い。「店で知って(見て)、立ち読みして、ネット(書店)で買う」客が増えたことも書店の危機の原因の一つだと言う。

さらに小川さんの言葉がズシンとお腹に落ちる。「町の本屋さんは、それぞれ独自の棚づくりをしている。それがなくなるということは書店の多様性が失われていくこと」と読者との接点である書店の多様性の危機を訴えていたことにハッとさせられた。

radikoであと数日聴くことができる。10分弱の短い特集である。是非聴いて欲しい。