出版研究室は、出版に関するあらゆる問題の調査・研究を目的として立ち上げたものです。HPの開設が遅れていることもあり、この紙面を借りて、最近訪問取材した出版流通代行会社について報告する。
出版流通代行業と聞いて、出荷にかかわっている人なら協力会社としてなじみはあるでしょうが、わからない人も少なくないのでは? でも取引している版元の多いこと多いこと!
簡単にいえば、在庫管理から出荷、返品にとどまらず、改装や断裁処理まで手がけ、果ては書店受注から伝票発行、請求業務まで行う会社である。あっ、オンデマンドも。文字通りこれまでは版元が社内でやってきた業務の流通部門を丸ごと引き受けてくれる会社である。研究室では、最近、業界大手の2社を訪問してきた。いずれも堅調な伸びをみせている会社である。
版元が、自社倉庫を抱える経済的デメリットを克服するために外注化してきたという流れのなかで成長をしてきた業界といえる。その意味では、版元におけるリストラがこの業界を成長させてきた、ともいえる。
昨年アマゾンがバックオーダー中止を発表した時、業界に大きな波紋が広がったのは記憶に新しいところである。とりわけ中小版元にとっては死活問題にもなりかねないと。ところが、一部の出版流通代行会社にとっては神風とまでは言えないが、仕事が増える要因になったと聞いて驚いている。つまり、流通代行会社にとってみれば、版元が取次(日販)を通さずアマゾンとの直取引を始めるようになれば、取り扱い量がグッと増えるというわけである。
(出版研究室事務局長・平川修一)〔『出版労連』1550号/2018年5月1日より〕