コンビニから締め出されたアダルト誌業界は今…

コンビニからアダルト誌が消えて半年以上が経った。大手コンビニ各社がアダルト誌の販売中止を発表したのは2019年の初頭であった。アダルト誌がコンビニから消えていくスピードは予想よりかなり早く、サクサクっと進んでいったのは記憶に新しい。そして8月の終わりにはほとんどのコンビニからアダルト誌は姿を消した。

そもそもアダルト出版社(さしあたりこのように表記します)にとって、コンビニでの売上げは社によって違いはあるものの、極めて大きなものであった。会社によっては売上げの半分を占めている社もあったほどである。年々、アダルト誌のコンビニでの売上げは落ちていたとはいえ、昨夏のコンビニでの販売中止という事態は、アダルト出版社にとってみれば息の根を止められるような出来事だったのだ。

では、それぞれのアダルト出版社はどうしているのか⁈ コンビニ誌の売れ行き減だけが理由ではないのだろうが、引き金となって廃業した社もあるし、倒産という事態に陥った社もあるという。そんななかで各社足掻いて、なんとか企業として生き残ろうと必死だった。“緊急施策”として、これまでコンビニ誌として作っていたものを、①ややソフトに「実話誌」としてリニューアルした雑誌を引き続きコンビニで販売してもらう追求を試みたのが一つ。コンビニ誌を②ハードさを増したものにつくりかえて書店販売を狙ったのが二つ目。しかし、①はコンビニから拒否され、②は各社点数を増やしたため書店のアダルトコーナーのスペースには並べきれない冊数の本が棚から溢れることとなった。①も②も「ジェット返品」と揶揄されるような「即返」となっているのが今も続いている。

最後に。アダルト誌については、存在そのものをめぐって、性の商品化と、表現の自由をどう考えるか、という問題がある。いずれ問題を整理したうえで意見を述べ合い論じなければならない問題である。