嫌な事件を思い出させる記事が…晋遊舎に消費者庁が措置命令!(「朝日新聞」3月25日付から)

出版研究室のHPのリニューアル第一回目の「出版産業、気になる話題」としては、少々暗い話になるが引きずって気になっている或る事件を取り上げる。

3月25日の朝日新聞に「懸賞パズルなのに…商品送らず」という記事が載った。晋遊舎が消費者庁から景品表示法違反で措置命令が出された事件である。晋遊舎は、パズル雑誌の懸賞企画で長期間商品の発送を行っていなかったことについて「委託先との認識の祖語」「担当者が忙しくて」という理由を述べている。出版社の社会的信用を貶める質の悪い事件であることは論を俟たない。

筆者は数年前のことを思い出した。2015年に解決した「秋田書店による景品水増し不当解雇事件」である。筆者の知る限り、消費者庁からの命令が出された出版社の第一号ではないかと思う。漫画雑誌の読者プレゼントの当選者数水増しという企業犯罪を告発した社員(Aさん)が解雇されたというとんでもない事件だった。Aさんは首都圏青年ユニオンに加入し会社を相手取り裁判を起こした。産別組合ではない同ユニオンから、出版の産別組合である出版労連へ支援協力の要請がきたのだった。毎回の裁判傍聴、社前行動でのあいさつ、出版労連の学習会へも責任者に来てもらい、訴えてもらうなど協力を惜しまなかったどころか、学ばせてもらったことをよく覚えている。最終的には和解で解決したが、その間、出版社の人間であるAさんの上司が、「購入する商品は1つで当選者は10人」といった不正指示をしたり、「(Aさんは)読者プレゼントを窃取した」とかAさんが不正をやめるように訴えると「お前を潰す」といった暴言も受けたことが裁判で明らかになった。解決したとはいえ、非常に後味の悪いものであったせいか今でも時々思い出す。

今回の晋遊舎の事件は嫌な気持ちを蘇らせるのに十分なものである。ちなみに晋遊舎には中学道徳の教科書を出版している日本教科書という関連会社がある(住所が晋遊舎と同じ)。この記事を読んだ或る友人から「出版界は嘘が多いよなぁ」と言われた。グサッときた。