どう考える? 改憲CM規制(出版研究室から[29])

出版研究室では、毎月、出版や出版労連の運動に関係する(と判断する)あらゆる問題をいろんな角度から論じ研究につなげている。

さる1月12日に始まった通常国会で安倍首相はご都合主義よろしく、桜とIRについてはダンマリを決め込み、憲法改正の野望を強く押しだしていた。改憲問題も研究室では21条との関係で常に論じている。安倍政権は、世界的規模でのキナ臭い情勢に乗じて憲法改正へ遮二無二突進しているかに見える。改憲手続きに関する国民投票法改正案の気になる点について論議をひとつ紹介しよう。

CM規制の問題である。民放連は「CM量の規制は行わない」と表明した。憲法改正反対・慎重派は、表現の自由との関係で「制限を加えるのはよくない」という点はふまえつつも、「資金力のある方=憲法改正派の主張がバンバン流されるから不公平」と主張している。

改憲を許すのか許さないのか、の問題であるにも関わらず、CM規制の話か? と思われる向きもあろうが、研究室では「知に対する尊敬の欠如や知を足蹴にする傾向」とでも表現できる現代日本の社会状況におかれている多くの労働者国民の目と耳に、毎日毎日押し込まれる『憲法改正こそが明日の日本を創る』的な宣伝文句はスーッと浸透していくのではないか」との指摘もある。物事に対して思考すること、社会の在り方を考えること、他人を思いやることなどが評価されない風潮、「劣化」を思わずにはいられない。知を創り心を育む出版文化の問題としても考えなければならない。

また、「CM規制は表現の自由、かつ『知る権利』の問題でもある」という発言があったことも紹介しておく。

(出版研究室室長・平川修一/『出版労連』2020年2月1日‐1571号より)